ウチのお父さん ドッグトレー列伝

第二話 「VS職人一代」

 

それは、一件の問い合わせから始まった。

屋内で初めて犬を飼ってみたが、吠えるは、排泄はあちらこちらにするはしまいには家の中の家具等を「ガリガリ」咬むはで、どうにもならなく小学校高学年のお子さんと話しあった結果。御主人に未承諾でトレーニンの依頼

早速、約束の日時に依頼主の自宅に伺った。

 

時は、夕方、時刻は6時半問い合わせをくれた奥方が居間に案内してくれたその居間に入ると、なんと、!!!

ちゃぶ台に一升瓶を「ド~ン」と置いて「グビグビ」と晩酌中の主、眼光鋭く頭は角刈りダボシャツとステテコ姿で無愛想な態度で「ドカーン」と立膝ついて・・・・・・・・・・

私は早速、ありきたりの挨拶をしたとたん。

 

目の前のお父さんから、「オレあんた信用しないヨ、金なんか払わない」「オレの仕事は左官屋だ、この腕一本で稼いでいる」「あんたの様に口のきけない生き物をあいてにして適当に稼ぐ人間とは違う」「そんな怪しげな商売オレは信用しない」と大変御立派な御挨拶をいただいた。

 

そして、私は「左様でございますか」「では、今御主人の目の前でこの仔が私の言う事を聞くようにしたらどうか信用していただけますか?」と心静かにそして丁重に答えた。

 

「出来るのかい?」「おもしろい、やってみな」と軽く小バカにされた感じの返答、その瞬間、私の心のスミに「カッチン」とスイッチが入り、気分は燃えろ闘魂(頭の中には映画ロッキーの挿入歌、アイオブザタイガーが流れる!!?)

 

先ずは先ほどから「バタバタ」と騒いでいる問題の御仔様をゲイジから出した問題の御仔様はこれから自分の身に何がおこるとは知らず家じゅう走りまくり、そして私の前にあるがちゃぶ台に手をかけダボシャツオヤジ、いや、お父さんの晩酌の肴に口を付けようとしたとたん・・・・・・成敗!

 

そして固く凍り付いて大人しくなった御仔様に「スワレ、マテ、ヨシ、コイ」としつけショーを行うこと約30分(その間私の頭の中はもし失敗したらここでトレーニング料がもらえず、帰宅後家に入れてもらえないどころかもっと恐ろしい事が待っていると!????)

 

やがて、御仔様はなんとか私の指示通りに従ってくれた。そして、そして、そのお父さんはコップに七割方入っていた酒を一気に呑み、私に「先生スマン」「あんたスゴイネ!まるでマジッシャンだ」「将来ウチの娘をあんたの弟子にして欲しいもんだ」といって、自分か座っている座イスの後ろにある作業服の胸ポケットからヘビガラの財布を取り一言「ウチの犬の事宜しく頼みます」といってトレーニング料金を支払ってくれた。

 

その後の事は、みなさんの創造にお任せします。

 

但し一言付け加えるなら、その御宅に数回通ったが<常にあのお父さんは私のレクチャーに付き合ってくれた、純度85%の小さな武勇伝である。


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